「現在の支払い余力が十分かどうか」である。支払い余力は自己資本と言っても同じだが、要は会社価値のところで触れた実質的な純資産のことだ。考え方はソルベンシー・マージン比率と同じで、会社が抱えている各種のリスクに対し、経営のバッファーとして支払い余力をどの程度確保しているのかを評価している。支払い余力には株式含み益や外部から取り入れた劣後ローン(返済順位の低い債務)なども含まれるが、そのなかでも特に資本としての性格が強いものを重視している。
[関連情報]
保険市場のネット生保
http://www.hokende.com/static/online/features/20111028/
保険市場の終身死亡保険
http://www.hokende.com/static/life/big_sleep/permanent/
しかし、第一のポイントだけを見ても生命保険の健全性はつかめない。例えば、同じ支払い余力を持つA、B二社があるとしよう。A社は逆ザヤによる損失を他の差益で穴埋めできず、毎期かなりの支払い余力を食いつぶしている一方、B社は逆ザヤによる負担が小さく、毎期安定した利益を上げているとしよう。現在の支払い余力がたまたま同じでも、数年後の両社の支払い余力には大きな差が出てくるはずだ。そこで、「支払い余力が将来にわたり維持できるかどうか」が重要になってくる。「将来の外礎的な収益力」と言い換えてもいいだろう。生命保険の契約期間は非常に長く、現在抱えている保有契約はなかなか入れ替わらない。このため、足元の収益力を見れば、今後の収益力がある程度想像できる。もちろん、これだけでは不十分なので、保有契約の動向やコスト削減の取り組みなど、今後の収益に関わる様々な手掛かりをもとに将来の収益動向を分析している。そして、「支払い余力が維持できなくなる可能性」を見るというものだ。少しわかりにくいが、現在の支払い余力が十分で、かつ、将来にわたり十分確保できる収益力を持っているとしても、想定していなかった事態により経営不振に陥ることが考えられる。規制緩和で競争が激しくなる、これまで独占していた顧客基盤が崩れる、リスク管理体制の甘さから多額の損失が発生する、といった事態である。例えば、大手生命保険では営業職員が企業を訪問して保険を販売する(これを職域販売と言う)ことが多い。このような職域販売は実のところ構成員契約ルールという規制で守られ、職場での個人保険の販売は営業職員が独占している。しかし、近い将来に規制がなくなり、これまでのように職場で独占的に販売することができなくなる可能性がある。