引越の時の要点

業績面であるが、遠距離引越しの増加に支えられた95年春より業績が回復したというヤマト運輸を除いては、競争激化や引越しの小口化のあおりを受けて、いずこも低調だった。その一方で、単身引越し件数は依然伸び続けており、日通や西濃運輸など全国ネットを持つ荷積トラック大手は、それぞれ二桁以上伸ばしている。引越し業界のこうした動きをみると、日本の産業界の動きが、わかるような気がする。企業は大手がどこもかしこもといった具合にリストラクチャリング(事業の再構築)の名のもとに大胆な人員削減と工場など生産拠点の縮小・閉鎖を推進し、社員の出向などの配転も大幅に行っている。かつては定年間際の社員が、人員削減の対象、出向・配転、希望退職者の対象となっていたものだが、今日では、30代、40代も対象になっている。また50代の中でも事務系・技術系の要職にいる人もその対象にされている。拒否すれば、それは即退社を意味する。たとえ、残ることを主張しても仕事はない。ラインからはずされ、スタッフとなっても部下なしの窓際族となるのみ。いわゆる飼い殺しだ。そこで、会社側のどんな出向、配置転換にも応じなければ、社にはいられない。裏を返すと、社にとどまりたいと望むなら、その無理難題を受けざるをえない。宮仕えは悲しいがそのものの過酷、熾烈な社会となっている。結局、それは単身赴任の受け入れである。単身引越しが急増しているのはこうした背景による。もちろん子供の教育問題や住宅問題、さらに高齢者問題も原因となっている。

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