看護師の過酷な労働実態を把握しないまま、国は特定看護師を創設し、新たな業務を課そうとしている。日本赤十字看護大学の教授が問題視するのは、「医師の診療の補助」ばかりが注目され、「療養上の世話」が軽んじられているということだ。看護師は、患者の観察をし、治癒能力を高めるプロであるのに、医師の補助員として扱われ、さらには准医師のような形で、聞こえのよい地位向上策が図られていることを危惧している。もちろん、看護師が専門性を高めることは教授も否定していない。医師だけでなく、看護師までも専門特化してしまえば、それ以外の疾病に気づかず、縦割り医療が加速する。翻って考えれば、医療費がかさむ結果となる。教授も、「看護師はあくまで全体を見ることができるジェネラルな専門職であるべき。その水準を高めることが重要」と主張している。日本医師会も「看護師は、看護師にしかできない業務をレベルアップし、本業である『療養上の世話』の分野で十分に力を発揮することを先に実現したほうがいいのではないか」と指摘する。患者が頼りにするのは、そうした「療養上の世話」の部分のはずだが、忙しすぎてケアは不十分になっているのが現状だ。
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